まずはコード進行を分析して各コードの機能や使えるスケールを調べてみましょう。
コード進行は、「曲のKey→各コードの機能→使えるスケール」、という順番で分析していくのが簡単です。
それでは曲のKeyをみていきましょう。
Keyは調号から判断することができます。
この進行には「♭」が2つ付いているので、B♭メジャーかGマイナーKey
という事になります。
31小節目でGm7に解決して曲が終わるので、KeyはGマイナーと考える事が出来ます。
Keyが分かったら、そのKeyの基になっているスケールから作られるコードを調べて、
コード進行を分析してみましょう。
これらがGマイナースケールから作られるコードです。
コード進行と比べてみると、ほとんどが上記のコードのみで作られていますが、
D7、G♭7、Fm7、E7の4つは上記のコードにないコードです。
D7は本来Dm7であるところを、Gm7により強く進行(解決)出来るように
7thコードにしています。
マイナーKeyのVm7コードをV7コードに代理させるのはよく使われます。
27、28小節目は、29小節目にくるE♭Ma7コードにスムーズに進行できるよう、
II-Vを使った例です。
ここは7thコードの代理コードが使われているので詳しく見てみましょう。
7thコードにはTritoneSubstitution・トライトーンサブスティテューション
(トライトーンの代理コード)があります。
これは、同じトライトーンを持っていれば代理コードに使える、というものです。
トライトーンとは3全音の音程の音、7thコードの3度と7度の音を指します。
例えばC7の場合、トライトーンはEとB♭になります。
このEとB♭をもっているもう1つの7thコードがG♭7です。
C7のトライトーンはEとB♭、G♭7のトライトーンはB♭とF♭(=E)。
この2つの7thコードは同じトライトーンを持っているので、代理コードとして使用する
事が出来るのです。
ではコード進行の27~28小節目を見てみましょう。
赤で囲った進行をトライトーンの代理コードを使って、G♭7→C7、E7→B♭7
に代理させる事が出来ます。
すると、Gm7-C7、Fm7-B♭7とII-Vの連続になっている事が分かります。
トライトーンの代理コードのことを裏コードと呼ぶこともあります。
裏コードはジャズ以外でもよく使われるので覚えておきましょう。
それでは、コード進行と各コードで使えるスケールを見ていきましょう。
赤で囲ってある箇所をみると分かるように、この曲はほとんどメジャー、マイナーの
II-V-I進行で成り立っています。II-V-Iは他のスタンダードのコード進行にも
よく出てくるので、アドリブの練習に最適なコード進行です。
それでは使えるスケールを見ていきましょう。
アドリブ例の音源で使ったスケールを書きましたが、もちろんこれ以外にも使えるスケールがあります。
ただ、使えるスケールが分かっているだけではなかなかジャズらしいアドリブは出来ません。
そこでここからは、ジャズらしいリックを使ってアドリブしていく方法を見ていきましょう。
リックは覚えやすくするため、1~2小節単位の短いものが最適です。
また何度も何度も使う事でだんだんと身に付いてくるので、スタンダードの
コード進行によく出てくるII-V-I で使えるものを覚えるのが効果的です。
それではリックを使ってはじめの8小節を弾いてみましょう。
リックを使って問題になるのは、赤で囲ったリックとリックの間を
いかに自然につなげるか、です。
一番いい解決法は、ギターでコードを弾きながらリックを歌って、
赤で囲った部分は鼻歌で何か歌ってつなげてく方法です。
はじめのうちはなかなか上手く歌えないと思うので、何も浮かばなかったら
スケールを適当に弾いてとりあえずつなげてみましょう。
ではつなげた例を紹介します。
リックとリックの間を埋めるアドリブは無数にあります。
自然で、歌えるようなアドリブになる事を心がけて演奏してみて下さい。
リックの使い方ではリックとリックの間を埋める方法を練習してきましたが、
スムーズにつなげることを考えると、リック自体を変えることも重要です。
ここではメジャーII-V-I リックを変化させていく方法を見ていきましょう。
B♭メジャーII-V-I リック1
リックを変化させる方法はたくさんありますが、ここでは
休符を入れる、3連符を使う、弾き始めるのタイミングを変える、
の3つの方法をみていきましょう。
まずは1拍目に8分休符を入れてみましょう。
つぎは、1拍目と3拍目に8分休符を入れてみます。
今度は1拍目に4分休符を入れてみます。
このように休符を入れるだけでも違った雰囲気に聴こえませんか?
休符を入れる場所はどこでも自由で構いません。
お気に入りの場所を探してみてください。
つぎは3連符を使う方法です。2拍目に3連符を入れてみましょう。
今度は4拍目に3連符を入れてみます。
この方法もとてもよく使われますが、多用するとかっこ悪くなってしまうので
注意してください。
最後に弾き始めるタイミングを変える方法をみていきましょう。
まず半拍早く弾いてみましょう。
次は1拍半早く弾いてみます。
最後に2拍早く弾いてみましょう。
何拍か前からリックを始めるのは、リックに勢いが乗るので非常に効果的です。
このように1つのリックを変化させる事で、アドリブの中で
リックを自然に使える形に変えることが出来ます。
Cm7でのリックに変化をつけましたが、もちろんF7のリックに変化をつけることも出来ます。
他のリックも自分の好みに変化させて使ってみて下さい。
リックとリックをつなげるアドリブを自然に出来るようにするためには、
そのコード進行の流れをしっかりと把握する必要があります。
そのためには、コード進行の響きを覚えられるコードトーンを弾く練習が効果的です。
ここでは5thポジション(5フレット付近で弾ける範囲)を例に、
ルートから弾く練習をしてみましょう。
27、28小節目の2拍ごとにコードが変わるところは、8分音符を使って弾いてみてください。
これが出来るようになったら今度は弾く順番を変えて練習しましょう。
弾く順番の組み合わせは全部で24通りあるので、いくつか試して響きを覚えてみてください。
ある程度コードトーンの響きを覚えてきたら、今度はコードトーンの位置を確実に覚えられ
るように、一番近い次のコードトーンにつなげる練習をしましょう。
ここでは5thポジション(5フレット付近)で紹介しましたが、他のポジションでも
同じように練習してみてください。
コードトーンの練習は耳にそのコードの音を覚えこませるのに役立ち、しっかりと
インサイドの音を覚えられるので、後にアドリブでアウトさせるときにも役立ちます。
それでは最後にスケール、リックも合わせてアドリブしてみましょう。
Gマイナースケールを中心に、II-V-I リック、コードトーンを使ったアドリブ例を
2コーラス音源にしました。1コーラス分は譜面にしておきましたので、合わせて参考にして下さい。
アドリブの基本はいかにして「歌う」かです。
常に、頭の中で鳴っている音を弾こう、と心がけて練習してみて下さい。
譜面はアーティキュレーションの表記、細かいニュアンス等を省略しています。
| アーティスト | アルバム名 | 曲名 |
| ジム・ホール Jim Hall | Alone Together![]() amazon.jpの詳細ページへ | メロディーやソロの歌わせ方を学べます |
| マーティン・テイラー Martin Taylor | I'm Beginning to See the Light![]() amazon.jpの詳細ページへ | 王道フレーズが学べます |
| ビレリ・ラグレーン Bireli Lagrene | Live in Marciac/Blue Eyes![]() amazon.jpの詳細ページへ | ジョージ・ベンソンを彷彿させるフレーズが 学べます。 |
| ジョー・パス Joe Pass | Virtuoso No. 4![]() amazon.jpの詳細ページへ | ソロギターですが、息の長いフレーズが 学べます。 |